対決!デジタル一眼レフ専用レンズ
キヤノン EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM
シグマ 18-50mm F3.5-5.6 DC

(2006.11.06最終更新)

 

EOS Kiss Digitalレンズキットに付属のレンズ、EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM。
実質2万円とは思えぬ描画性能には定評があり、「EOS Kiss Digitalを買うなら絶対にレンズキット!」と言わしめるべく存在。
レンズキットを買い逃した方からの単体発売の要望も少なくなく(その後単体発売が実現)、キヤノン製デジタル一眼レフカメラユーザの着目度も高いレンズです。

そんな折、レンズ専門メーカーのシグマが挑戦状を叩き付けた。ASP-CサイズのCCD/CMOS搭載一眼レフデジタルカメラに焦点を絞った、「18-50mm F3.5-5.6 DC」が登場。
スペックはEF-S 18-55mm F3.5-5.6 USMと類似。実売1万円半ばと安価ながら、デジタル専用設計の利点を生かし、巷の評判は上々。
レンズキットを買い逃した方や、上位機種のユーザーにも大好評。一部には「描画性能は純正を上回る」との声も聞かれます。

では、両者の実力はどうなのか?。純正レンズとレンズメーカーの、とことん一本勝負です。

シグマ 18-50mm F3.5-5.6 DC

シグマの「18-50mm F3.5-5.6 DC」
末尾の「DC」の名が示すとおり、ASP-CサイズのCCD/CMOS搭載
デジタルカメラに最適化を図ったレンズ
普通のカメラや一部の高級デジタル一眼レフカメラでは
光学部の制約上、画像の周囲にケラレが生じるため装着不可


− スペックを比較 −

先ずは単純に両者のスペック比較。カタログの数値をそのまま並べます。

[スペック比較表]

  キヤノン EF-S 18-55mm
F3.5-5.6 USM
シグマ18-50mm F3.5-5.6 DC
焦点距離 18mm〜55mm
(EOS Kiss Digital装着時:
28.8mm〜88mm相当)
18mm〜50mm
(EOS Kiss Digital装着時:
28.8mm〜80mm相当)
最小F値/絞り 3.5〜5.6 / 22-36 3.5〜5.6 / 22-36
最短撮影距離 0.28m 0.25m
レンズ構成 9群11枚(非球面レンズ採用) 8群8枚(非球面レンズ採用)
絞り羽枚数 6(円形絞り) 7(円形絞り?)
サイズ 68.5mm(最大径) X 66mm(長さ) 67.5mm(最大径) X 62mm(長さ)
重量 190g 250g
フィルタ径 58mm 58mm
フード 別売(キヤノン EW-60C) 標準添付
その他 マイクロUSM II搭載  

イメージ的には双子にも思われる両者。但し、詳細に比較すると違いは存在します。
焦点距離では望遠寄りでキヤノンが勝り、最短撮影距離ではシグマが優位。レンズ構成や絞り羽にも微妙な違いがあり、両者のポリシーの違いが(なんとなく)読み取れます。
まぁ、この辺りはあくまでもスペック上の話ですが・・・。

重量ではキヤノンが軽量で優位。AFはキヤノンがマイクロUSM搭載で、極めて俊敏そのもの。
シグマのAFも遅くはありませんが、キヤノンには明確に劣ります。スペック上の比較では、キヤノンが一歩リードです。


− 両者を並べての比較 −

続けて両者を並べて比較。外観、操作性のチェックを行います。

両者の比較(正面)
両者の比較(正面)

左が純正のキヤノン EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM
右がシグマ 18-50mm F3.5-5.6 DC
両者ともフィルタ径は58mmなので、特徴的な違いは存在しない
強いて違いを挙げれば、キヤノンの方が
サイズ以上に肉厚で、安い中にも高級感がある




両者の比較(側面)
両者を並べる(側面)

シグマの方が若干コンパクト、外装は両者とも価格相応ですが
シグマには距離目盛があり、若干のアドバンテージ
AF/MF切り替えスイッチは、両者ともほぼ同じ




両者の比較(後面)
両者の比較(後面)

シグマは頑丈な金属マウントを装備、安価な製品でも手抜きを見せない
シグマの製品づくりに感銘を受ける


質感はシグマが優位です。操作性もフォーカスリングが狭く軽過ぎて手元が狂いやすいキヤノンと比較すると、シグマは適度な重量感があり、操作性では一歩リード。
ファインダーの見易さは両者互角。両者とも悪くはありませんが、高級レンズと比較すると幾分劣ります。
フードはシグマに軍配。キヤノンよりも深くしっかりとしたフードが標準で付属し、安心感の高さでも優位です。

18-50mm F3.5-5.6 DCにフードを装着

18-50mm F3.5-5.6 DCにフードを装着すると、ぐっと高級感が増す
MF時はフードを回転せざる得ないキヤノンと比較し
シグマはフォーカスリングがしっかりと独立、MF派のこだわりユーザにも嬉しい配慮
(でも、このクラスのユーザは殆どAF派でしょうが)



− 撮影結果はシグマが一歩リード −

では、実際の撮影結果は?。短い時間ではありますが、何種類かの被写体を元に比較を行います。
結果から述べると、総合力ではシグマが優位。ワイド端・開放付近の解像力はキヤノンが純正の強みを発揮しますが、テレ端方向の安定性、暗所の強さと絞った際の周辺域までの均一さではシグマが一歩リードです。
一般論では描画性能では純正が優位なケースが多いのですが、両者に限ればシグマに軍配かな?って感じです。
以下、撮影サンプルを元に解説を行います。

撮影サンプル1:ワイド端での風景撮影
(画像をクリックすると実サイズで表示されます)
キヤノン
サンプル1
シグマ
サンプル2
F8.0,1/320秒,太陽光 ISO 100相当
JPEG Large Fine
シャープネス +1,色合い +1

この2枚では、決定的な差異が見つからない。鉄橋が僅かにキヤノンがシャープかな?と思う程度で、両者とも互角の勝負。
色合いはキヤノンがやや青みがかかり、シグマが黄色身を帯びている。
この点は両メーカーの傾向がそのまま現れている。
他、逆光下の意地悪なテストも行ったが、キヤノンの方が多少フレアに強い?と言った程度で、両者とも逆光には強め。


撮影サンプル2:35mm相当でのスナップ撮影
(画像をクリックすると実サイズで表示されます)
キヤノン
サンプル1
シグマ
サンプル2
F8.0,1/400秒,太陽光 ISO 100相当
JPEG Large Fine
シャープネス +1,色合い +1

これはシグマが勝利。全体のシャープネスに明らかな違い。
周辺部の違いに着目。右下の植え込みはキヤノンがかなり流れているのに対し、シグマは安定した描画結果が得られている。


撮影サンプル3:35mm相当で若干開放寄りの撮影
(画像をクリックすると実サイズで表示されます)
キヤノン
サンプル1
シグマ
サンプル2
F5.6,1/250秒,太陽光 ISO 100相当
JPEG Large Fine
シャープネス +1,色合い +1

これはキヤノンが優勢。中央付近のシャープネスで一歩リード。
ここまでの傾向として、開放寄りではキヤノンがリード、逆に絞った状態ではシグマの実力が光る・・・てところか。
ただし、レンズの個体差により上記とは異なる評価になる可能性もある。


撮影サンプル4:マクロ撮影(50mm相当)
(画像をクリックすると実サイズで表示されます)
キヤノン
サンプル1
シグマ
サンプル2
F5.6,1/60秒,太陽光 ISO 100相当
JPEG Large Fine
シャープネス +1,色合い +1 ストロボ使用

この例ではシグマが勝利。シャープな画質には好感が持てる。
最短撮影距離の短さもシグマがちょっぴりリード。簡易なマクロレンズの代用になりそう。


実際の使い勝手では、両者に大差はありません。AFは非USMであるシグマでも必要十分な速度を保ち、極端に早い被写体で無い限りは実質的な違いはありません。
AFの精度も両者互角。レンズメーカの製品で時折見受けられるAFの迷いも、シグマのレンズには存在しません。
ずばり、シグマの18-50mm F3.5-5.6 DCは「買い」。実売価格も極めて安価なので、レンズキットをお持ちの方も、他社のエントリークラスの一眼レフデジタルカメラをお持ちの方にも、幅広くおすすめ出来るレンズと言えそうです。

シグマのAFはキヤノンと比べると多少遅いので工夫は必要だが
慣れれば列車のような早い被写体にも対応可能
願わくばもう少々明るさが欲しかったが、それは贅沢な望みなのか
(JR南武線 中野島駅近辺 2004.02.01撮影)


おまけ:上の写真には猫の死骸らしきものが写っていますが、実はぬいぐるみでした。


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