50DのAFマイクロアジャストメントを
「適当」に試してみる
(2008.10.25最終更新)

 

2008年9月に発売されたEOS 50Dには、キヤノンのミドルクラスの製品初の「AFマイクロアジャストメント」機能が搭載されました。
この機能は、レンズのAFのバラつきをカメラ側で補正するもので、うまく活用することでAFの精度向上が期待出来ます。
レンズ毎に補正量を調整・保持する事も可能。マニア向けの機能ですが、利便性はなかなかのものです。

AFマイクロアジャストメント

EOS-1Ds Mark IIIで搭載されたAFマイクロアジャストメント機能、
ミドルクラスの搭載事例ではニコンに遅れをとったが、ようやく50Dで用意された。
この機能を使用するには、カスタムメニュー内の「c.Fn III:AF・ドライブ」を選択する。
レンズごとの調整も可能であり、本体側で20本分の調整量を記憶可能
(純正以外のレンズも基本的には問題ない模様)。





AFマイクロアジャストメント

調整量は、前後それぞれ20ポイントの幅がある。
レンズのピント調整は、メーカー持ち込みとなり時間を要したが、
この機能を使用する事で、自宅などでも比較的容易に調整可能。



とは言え、実際に調整の必要性はあるのでしょうか?。50Dの製品マニュアルを参照すると「通常はこの機能で調整を行う必要はありません。」と明記されており、メーカーの立場として積極的な使用は推奨されていません。
しかしながら、レンズごとの焦点精度のばらつきは確実に存在します。一部のマニアになると撮影機材をまるまる調整するケースもあり、AFの精度の高さは必要不可欠な要素です。

検証

論より証拠、手持ちのレンズで調整を行ってみます。
方法は極めて適当で、カメラを三脚にしっかりと固定。





検証

調整幅を変化させながら、5m程先の看板をひたすら撮影。
AFはワンショット固定と、これだけは最低条件と思う。画像モードはJPEG Large Fine。
広角系のレンズ(100mm以下)については、撮影距離を縮めて懸賞。





撮影結果

撮影後はパソコンのモニターで等倍表示。
文字の表示が一番鮮明なものを探すが、撮影毎のAFのばらつきも存在するので、
厳密に判断するのは実際難しい(だから「適当」なのですが)。
もっと本格的にやるのであれば、ピンとチャートを使うべき。





ちなみに以下が調整結果。検証方法が適当でもあるので、参考程度までにご覧ください。
何故か純正のEFレンズが、軒並み後ピン傾向?だったのが気になりますが・・・。

レンズ名 調整時の焦点距離 調整量
キヤノン EF50mm F1.8 II 50mm ±0
キヤノン EF 100mm F2.0 USM 100mm -5
キヤノン EF 200mm F2.8L USM II 200mm ±0
キヤノン EF 300mm F4L IS USM 300mm -5
キヤノン EF 400mm F4 DO IS USM 400mm -4
キヤノン EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM 28mm -5
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USM 200mm -3(-2に変更)
キヤノン EF 80-200mm F2.8L 150mm ±0
タムロン SP AF11-18mm F/4.5-5.6 Di II LD Aspherical [IF] (Model A13) 15mm ±0
タムロン SP AF28-75mm F/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A09) 50mm +1
シグマ 20mm F1.8 EX DG ASPHERICAL RF 20mm ±0
シグマ MACRO 50mm F2.8 EX 50mm ±0


厄介だったのは、本体側のAF精度のばらつき。何故か200mmクラスではばらつき感が強く傾向が掴めず、結局のところは調整は見送りました。
一例として、手持ちのEF 400mm F4 DO IS USMの調整幅による撮影結果です。繰り返しとなりますがレンズによりコンディションが異なるため、あくまでも「参考」程度でご覧ください。

調整幅 撮影画像(オリジナルサイズから一部を切りぬいたもの)
-7ポイント サンプル
-5ポイント サンプル
-3ポイント サンプル
-1ポイント サンプル
調整なし サンプル
+1ポイント サンプル
+3ポイント サンプル
+5ポイント サンプル





撮影比較例を最後に掲載します(写真をクリックすると、実サイズでご覧いただけます)。

マイクロアジャストメントの調整有無による違い ケース1
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USM (ISは共にON)
調整なし
サンプル1
F7.1,1/1250,太陽光,ISO 200
JPEG midle Normal
調整あり(-2)
サンプル2
F7.1,1/500,AWB,ISO 250
JPEG midle Normal
両者の差は明らか。非調整時はぼんやりとした画質で、「本当にLレンズ?」と疑念を抱きそうだが、調整後は幾分シャープ感が増した。
余談ではあるが1510万画素の50Dと800万画素の30Dと比べると、50Dは画素数が増えた反面、解像感が30Dよりも若干落ちた感はどうも否めない。



マイクロアジャストメントの調整有無による違い ケース2
キヤノン EF 300mm F4L IS USM (ISは共にON)
調整なし
サンプル1
F5.6,1/500,AWB,ISO 400
RAW (DPPでJPEG変換)
調整あり(-5)
サンプル2
F7.1,1/640,太陽光,ISO 250
RAW (DPPでJPEG変換)
撮影条件が大きく異なるが参考までに。等倍表示すると効果は明白。
ただ、動体撮影では差異は縮小。マイクロアジャストメントは静止物撮影の方が効果は大きそう(当然か)。
これまた余談だが、50DとEF 300mm F4L IS USMをAFで使うと、AFが何故か動作しないケースを確認。
その際はMFで調整すればAFは動くようになったが、50Dは細かい問題は抱えていそう。




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